設備コラム

冷却塔とは?仕組みや種類、選び方をわかりやすく解説

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冷却塔(れいきゃくとう)は、建物の空調設備や工場の機械を冷やすために使われる装置です。
適切に運用すれば、省エネルギーや設備の長寿命化にもつながります。

本記事では、冷却塔の仕組み・種類・選び方・メンテナンス方法について、わかりやすく解説します。

1. 冷却塔とは?役割と仕組みをわかりやすく解説

冷却塔の役割 – 人体に例えると「皮膚:汗をかく器官」

冷却塔の働きを人の体に例えると、「汗をかいて体温を下げる仕組み」とよく似ています。
暑いときに汗をかくと、その汗が蒸発することで体の熱が奪われ、体温が下がります。

冷却塔も同じように、水を蒸発させて熱を放出し、設備を冷やす役割を担っています。
つまり、冷却塔は「皮膚:汗をかく器官」としての機能を果たしているのです。

冷却塔の仕組み

冷却塔は、水の蒸発による「気化熱(きかねつ)」を利用して冷却します。基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 温かい水を冷却塔の上部から散布(空調設備や工場で使われた水)
  2. ファン(送風機)で空気を送り込み、蒸発を促進
  3. 水が蒸発し、熱が放出されて温度が下がる
  4. 冷えた水を再び設備へ戻し、再利用

この仕組みにより、効率的に水を冷却し、空調や設備の温度を適切に管理できます。

2. 冷却塔の種類とそれぞれの特徴

冷却塔には、主に2つの種類があります。それぞれの特徴や仕組みを詳しく解説します。

開放式と密閉式のイメージ図

① 開放式冷却塔(湿式冷却塔)

最も一般的な冷却塔で、多くのビルや工場で使用されています。

特徴

  • 構造がシンプルで、導入コストが安い
  • 水を空気に直接触れさせて冷却するため、冷却効率が高い
  • 外気の影響を受けやすく、水質管理が必要

この方式は、「風が当たることで汗が早く乾き、体温が下がる」イメージに近いです。
しかし、水が蒸発すると不純物が残るため、水質管理や清掃が欠かせません。

② 密閉式冷却塔(乾式冷却塔)

開放式とは異なり、冷却水を外気に触れさせずに冷やす方式です。

特徴

  • 構造が複雑で、導入コストが高い
  • 水が汚れにくく、メンテナンスが容易
  • 冷却効率は開放式に比べるとやや低い

この方式は、銅管を通して熱交換が行われるため、「風が当たることで汗が早く乾き、体温が下がるが開放式と比べて服が1枚多い」といったイメージでしょうか。
外気と直接触れないため、水が汚れにくく、長期間安定して運用できます。
一方で、構造が複雑なため、初期費用が高くなる点がデメリットです。

3. 冷却塔の選び方と重要なポイント

冷却塔を選ぶ際は、設置環境やコストを考慮することが大切です。以下のポイントを参考に適切なタイプを選びましょう。

① どこで使うかを考える

  • 一般的なビルや水質基準が高くない工場開放式冷却塔(コストが安く、冷却効率が高い)
  • 食品工場・医療施設密閉式冷却塔(水が汚れにくく、メンテナンスが楽)

② 設置コストと運用コストを比較する

項目開放式密閉式
構造シンプル複雑
導入費用安価高価
冷却効率高いやや低い
メンテナンス水質管理が必要比較的楽
使用場所一般的なビル・工場食品・医療施設

開放式は安価で冷却能力が高いものの、定期的な水質管理が必要です。
密閉式は水が汚れにくくメンテナンスが楽ですが、導入コストが高くなります。

4. 冷却塔のメンテナンスと長持ちさせるコツ

冷却塔は、定期的にメンテナンスを行うことで効率を維持し、長期間使用できます。
適切な管理を怠ると、冷却効果が低下し、電気代が増加する原因になります。

主なメンテナンス項目

  1. 水質管理
    • 水のpHや不純物を定期的にチェック
    • スケール(カルシウムなどの沈殿物)を防ぐ薬剤を使用
  2. ファン・モーターの点検
    • 異音がないか確認
    • モーターのベルトが劣化していないかチェック
  3. 内部の清掃
    • 冷却フィルターの汚れを落とす
    • 配管内のつまりを解消する
  4. 冬期の凍結対策
    • 冬は水を抜いて凍結を防ぐ
    • 必要に応じて保温材を巻く

メンテナンスを適切に行うことで、冷却効率を維持し、長期的なコスト削減につながります。

まとめ

冷却塔は、建物や工場の熱を効率よく冷却するための重要な設備です。
人間の汗のように【水の蒸発】を利用して熱を奪い、空調や機械の安定運転を支えています。

主な種類は以下の2つです。

  • 開放式冷却塔:構造がシンプルで安価、冷却効率が高いが水質管理が必要
  • 密閉式冷却塔:構造が複雑で高価、水が汚れにくくメンテナンスが楽

選ぶ際は、コスト・使用環境・メンテナンスのしやすさを考慮し、適切な冷却塔を選ぶことが大切です。
また、定期的なメンテナンスを行うことで、設備を長持ちさせ、運用コストを抑えることができます。

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関連法規

冷却塔に関連する法規として、建設省告示第三千四百十一号があります。

設備設計一級建築士の法適合確認において、この告示の内容は頻出問題です。下記記事を参考にしてください。

  • この記事を書いた人

かん

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