1. はじめに
設備設計一級建築士は、特に大規模建築物の法的適合性を確認するために求められる専門性の高い資格です。
また、エネルギーの安定供給確保や地球温暖化防止は世界的に課題となっており、建物の省エネルギー化をすすめるうえで設備技術者の役割は年々大きくなっています。
2. 設備設計一級建築士試験の概要
- 資格の目的
設備設計一級建築士は、高度な設備設計知識を持ち、耐震性や省エネルギーといった観点から建物設備を設計するために必要な資格です。
- 資格取得の流れ
1級建築士として5年以上の設備設計実務経験を持つ者を対象に、指定講習を受講し、修了考査で合格することで資格取得が可能です。
ただし、建築設備士は一級建築士になる前の業務も実務経験に含めることができます。
- 日程
業務経歴書など、実績を具体的に記述する必要があります。
受験資格があるかどうかの確認に必要なものであるため、しっかり記載しましょう。
業務でかかわった物件名や従事した期間などを過去何年か遡って記述する必要があります。
受講の申し込みは時間に余裕をもって行いましょう。
3. 試験科目と試験内容の詳細
試験科目は下記となります。
過去問の出題傾向を把握するにはこちらをチェック
建築設備士資格の保有者は、設計製図が免除となるため、先に建築設備士の取得をおすすめします。
一級建築士を取得後、設備設計一級建築士の受験資格が与えられるまで5年間ありますが、
- 年々仕事の責任は増し
- 試験慣れの感覚は薄れ
- 脳も衰えていきます・・・
早いうちに建築設備士を取得して、あとは法適合確認のみとしておいたほうが断然対策しやすいです。
なお、過去2年の修了考査で法適合確認、設計製図にいずれかに合格していたら、合格している方は免除されます。
毎年300~400人程度が受験し、修了率は全体で7割程度となっています。
参考URL: 設備設計一級建築士講習データ:建築技術教育普及センター
建築設備士についての記事はこちら
4. 試験準備のポイント
講習会テキストが唯一の教材であり、過去問と合わせて重点的に学習することが対策の基本です。
過去問を用いて出題傾向を把握し、特に繰り返し出題されやすい内容を中心に対策を行います。
しかし過去問は一級建築士のように書店に並んでいませんし、ホームページにもありません。
前年度分のみ、講習をうける本人が郵送で送ってもらうよう申請できます。
考えられる対策方法は下記のとおりです。
- 資格学校に通う
2024年現在、総合資格学院が設備設計一級建築士の対策講座を行っています。
建築士試験に精通したスタッフによる講座が受講でき、体系的に学べる
わからないことがあった場合に講師に質問ができる
受講料が高い(数十万程度)
- 教材を購入する
資格学校に通うより安価に情報が手に入る
教材の質が購入するまでわからない
費用はかかる(数万程度)
- 独学する
費用がかからない
過去問の入手が必要
設備が専門外の場合、わからないことが多くて戸惑う
わからないことがあった場合に気軽に質問できない
対策は上記の通りいくつかありますが、費用の面から独学を選択される方も多いと思います。
6. 合格後のキャリアと業務範囲
- 資格取得後のキャリア
設計事務所やゼネコンの設計担当者として、大規模物件を担当できます。
社内で取得している人が少ないといった状況となる方も多いでしょう。
一定の知識があることが公に認められる証となるので、待遇や手当のアップも期待できます。 - 設備設計一級建築士としての責任
法的な位置づけも明確で、建物の安全性や環境性能において重要な役割を果たす責任があります。 - 資格を活かして転職
資格は今の組織で必要なために取得したかもしれません。しかし資格は個人にあたえられる権限であり、自分自身で努力したからこそ得られたものでもあります。
設備設計一級建築士は全国的にも人数が少なく貴重な資格です。転職市場で自らの市場価値を確認し、キャリアを見直しするのもよいかもしれません。
7. おわりに
資格取得は大きなキャリアアップに繋がります。試験に挑戦する皆さんへエールを送り、建築業界での活躍を応援します。